「eライブラリ☆マイ・ノート」で自分だけの学習のあしあとを 2/2
東京都 府中市立府中第一小学校
 
 自分・ペア・みんなで解決
 一方、佐藤先生は「児童のかかわり」「自力解決」に着目し、ペアを組んでの学びあいの学習も取り入れている。【かいけつ 自分】【かいけつ ペア】【かいけつ みんな】の3段階の提示カードを用意し、今何をする時間なのかを児童がしっかり意識して学習活動ができるように配慮がされているのだ。
 まだ操作に慣れていない初期の段階ではペアで操作方法を補い合い、習熟後はヒントやリトライをうまく使いながら問題の自力解決をめざす。授業終盤のまとめは、【かいけつ みんな】の時間として、りれきドリルの中で誤答が多かった問題をスクリーンに大きく映し出し、クラスみんなで考えて正解を求めることも多いという。
 ふり返り、記録の時間
 そして、りれきドリルでの学習の最後に必ず行うのが「ふり返り、記録」であり、再び「eライブラリ☆マイ・ノート」の出番だ。
 マイ・ノートの内側に貼られたワークシートに、今日の日付、学習内容(単元名)、自己評価を書き込んでゆく。評価は「よくできた(☆)、できた(○)むずかしかった(△)」を記号で書き込むので、自分の理解度がひとめで分かる。
 挿絵も入って楽しい印象のワークシートだが、欄外には<文章にするには、たとえば、「わたしは7のだんのかけ算をまちがうところがある。よくれんしゅうしないといけない。それに、式をつくるのもむずかしいです」というように書くとよい。むずかしかったこと、分からないことがかけてくるとすごい。めあてができて、分かる学習につながるんだよ。>と、ふり返りへの具体的なアドバイスが書かれている。優しく、心強いメッセージだ。先生の言葉に後押しされるように、熱心に鉛筆を動かす子どもたち。
 「書くという作業はとっても大切なんです。これを続けていくことが皆さんの力になりますよ。」と更によびかける先生。各児童のマイ・ノートに糊付けされたワークシートは、1年分で6,7枚ほどになっており、3年生になりたての4月の記録もすぐに確認ができる。学習のあしあとそのものだ。
 このようなふり返り、学習の記録を続けることにより、子どもたちに「見通す力」がついてきたという。佐藤先生は、「自分の学習をふり返ること、すなわち、『その時間をふり返る』『さかのぼってふり返る』という2つのふり返りを継続することにより、自分のめあてを見通す力がついてきます。課題が見えると学習意欲がわいてきます。」と、子どもたちの変化について話してくれた。
 実は佐藤先生、ワークシートに「先生のコメント欄」もつけ加えたいという。子どもが記入する都度、先生が赤ペンでコメントを入れて返してあげる、その繰り返しをしていくことが理想だという。現実的にはそこには至っていないものの、「eライブラリ☆マイ・ノート」は毎回必ず回収して目を通している。
 チャイムが鳴り元気に終わりの挨拶をすると、来たときと同じように行儀良く2列に並んで笑顔で教室に戻る子どもたち。その後ろから子どもたちを見守るようにゆっくりと歩いてゆく佐藤先生の両腕には、3年1組37名分の「eライブラリ☆マイ・ノート」がしっかりと抱えられていた。

ストレッチ体操や手遊びでリフレッシュ。
パソコンを使う授業では、間に必ず休憩を
入れ、窓を開けて空気の入れ換えをします。

 「ICTを活用した授業改善推進モデル校」として、日常の教育活動に積極的にICTを活用し、確かな学力の定着を目指している府中第一小学校。 
 ICTの活用を追求するなかで、今まで以上に直接体験を意識し重視した学習が推進される結果となり、授業の中に『デジタルとアナログの融合』が多数見られるようになったという。
 子どもたちへの思いやりにあふれた取り組みの今後がますます楽しみである。
(2007年3月)
−DATA−
東京都 府中市立府中第一小学校
[児童数] 739名/全21学級+ことばの教室2学級
[コンピュータ台数] パソコン室 児童用40台、先生用1台、サーバ1台
             児童用ノートPC12台
             職員室 デスクトップPC4台、ノートPC30台(各教員に1台)
[校内LAN整備状況] 校内LAN有り
              普通教室にデスクトップPC1台(2年生以上の教室)
              プロジェクタ7台 
府中第一小学校様のご了承をいただいて、「eライブラリ☆マイ・ノート」で使われているワークシートをもとにした、ドリル学習の「ふり返り用シート」を作成しました。
ダウンロードし、ぜひご活用ください。(Wordファイル)
→小学校用
→中学校用