思いをのせて、ステープラで学習のまとめ
鳥取県 倉吉市立成徳小学校
 ラインズeライブラリアドバンスの『ステープラ』は、教師の教材作成や児童生徒のまとめ・発表に手軽に使えるエディタ。
  写真の取りこみが簡単という特徴をいかし、調べ学習やまとめの活動にステープラやeライブラリアドバンスの各コンテンツを積極的に活用しているのが倉吉市立成徳小学校だ。同校の情報担当、米村秀昭先生に話を伺った。
 火山の噴火を調べよう!
 「大地のつくりと変化」の単元も終盤、学習のまとめとして各自が「火山の噴火」について調べ、まとめる活動も仕上げ段階だ。子どもたちは、eライブラリアドバンスにログインしてステープラを開くと、すぐにまとめ作業にとりかかった。真剣な表情でマウスを握り、キーボードを叩く子どもたちのモニターには、もくもくと噴煙を上げる噴火の写真や火山の断面図、富士山、阿蘇山、有珠山など様々な写真が開いている。
みんな真剣。
「まとめるのは大変だけど楽しいです」
 「子どもが選んだそれぞれの写真には意図があります。同じ火山でも、調べたい事柄や選択する写真が違う。そこに意味があるんです」 そう話すのは、6年生の理科を担当されている米村秀昭先生だ。まとめるという作業は、「感覚的につかんでいる大事なことを、“なんとなく”から“確実”にしていく」プロセスそのものであり、「意図や気持ちを自由に表現していくことで、学習を深め、思考をつなげていくことができる」という。
 百科事典やWebページ等の資料の中から自分のフィーリングに合った写真を選びとる作業は、一連の学習プロセスの中でも“肝”となる部分だが、この写真貼り付けをサポートするのが、ステープラの『画面とりこみ』機能だ。画面上の取り込みたい部分をドラッグで囲むだけで、ステープラ上に簡単に貼り付けることができるのだ。また、「レイアウトが自由で機能も絞られているため、学習のまとめに使いやすい」と、子どもの学習活動にマッチした操作性がステープラを利用する理由のひとつと話してくれた。
絵には気持ちが表れる!
 思いを伝えるために 〜工夫しはじめた子どもたち
 米村先生は、火山のまとめ学習にあたり「ページ数は4ページまで。資料の文字をそのままコピー&貼り付けはしない」という約束を提示した。ページ制限は子どもの負担軽減もあるが、むしろ「限られた中でどうまとめていくか」を模索することで、より自分の意図を明確にして調べていくことが狙いだ。また、作品を仕上げることではなく、理科の学習が目的なので、資料を読みながら入力していくことで、覚えたり納得するまさに手書きと同じ効果が期待できるのだという。
 また、こうした制限の中から工夫や発見が生まれることもある。「解説部分を<画面とり込み>してステープラの中に貼り付けて、それを見ながら入力するワザを編み出した子がいたのには驚きました」と先生。なるほど、この方法だとウィンドウの切替えやプリントアウトをせずに文字入力ができる。また、データ中の任意の部分を隠しておくことのできる『めくりシール』機能は、テレビ等でお馴染みの発表にも有効な手法だが、「自分の目玉となる写真をずっと隠しておいて最後に見せる」という大人顔負けのプレゼン巧者も現れたとのこと。さらに、ほとんどの児童が写真の出典をきちんと明記しており、「以前の著作権の学習が生きた」と、調べてまとめる学習の積み重ねに確かな手ごたえを感じている。
児童にアドバイスする米村先生
「新しい機能や操作はすぐに広まる
ので、教師がすべてに習熟している
必要はないのです」
キーワードをめくりシールでかくす
 多様なニーズに応え、人とのつながりを引き出すICT
 授業が始まり15分ほど経った頃、りれきドリルで理科の問題を解き始める児童が出てきた。ステープラでのまとめが終わった児童だ。「eライブラリアドバンスは、一度開けばドリル問題、調べ学習用のコンテンツ、まとめのエディタを自由に行き来できるので授業で使いやすい」という言葉からは、子どもたちの進度や理解度に応じて多様な学習を保障し指導をすすめる、いわゆる複線型の授業が日常的に展開されているのが伺える。
自然と集まり、友だちの発表を見守る  成徳小学校では、授業中45分間ドリルだけ、ステープラだけといった使い方よりも、プリントや屋外観察等と組み合わせてeライブラリアドバンスやその他ICT機器を利用する先生が多い。1時間パソコン教室を使う場合にも、学年に応じて時間を区切り複数の活動を組み合わせることで集中力と効果を高めるようにしている。「隣に友だちがいるのに、ずっとパソコンじゃもったいない。教え合いやグループワークなど、友だちとの会話やつながりを引き出すツールとしてICTを利用したい」と米村先生。
 それぞれの思いに沿ってまとめた「火山の噴火」を発表する友だちに拍手を送り、感想を伝える子どもたち。こうした関わりあいが学びを支えているのだ。
 理科離れといわれる昨今、子どもの「思い」を温かく見守り育む成徳小学校の実践は、それぞれの子どもの「興味・関心」こそが学習の起点であり、理科の学習で最も尊重すべきものだということを改めて教えてくれた。
(2008年12月)
−DATA−
鳥取県 倉吉市立成徳小学校
[児童数] 175名/全9学級(うち特別支援学級2学級)
[コンピュータ台数] パソコン室 児童用40台・先生用1台・サーバ1台
[校内LAN整備状況] 普通教室に有線LAN(パソコン室のノートPCを移動し利用) プロジェクター4台