本物の学習、分かる喜びを生徒に
青森県 八戸市立市川中学校
 パソコン教室に20台と、パソコンが生徒一人に1台ない環境でも、様々な場面でラインズeライブラリアドバンスを有効に活用している中学校が、八戸市立市川中学校だ。
 PTA予算でのソフトウェア購入や、昼休み・放課後のパソコン教室開放と、様々な工夫を重ねつつも校内の先生方に無理のない活用を推進する同校の戸来忠雄教頭先生に話を伺った。
(平成19年度)
 理解のスピードアップで生まれる時間を有効活用
 1年生の国語の授業の最後、「今日の授業は楽しかったですか?」との先生からの問いかけに生徒の手が一斉に挙がる。この日は苦手意識を持つ生徒も多い文法事項をりれきドリルとワークシートを利用して学習したが、市川中学校のパソコン教室に配置されているパソコンは20台と一人1台利用することができないため、ペアになった生徒二人でりれきドリルとワークシートに交互に取り組んだ。この取組みを始めた最初の頃は、ワークシートを目の前にしながらも隣の生徒のモニター画面が気になってしまっていたが、徐々に慣れてしっかり「自分の仕事」に集中して取り組めているという。
 「教師の説明に加えて、分かりにくい部分の確認や定着にりれきドリルを使うことで、通常の教室で行う授業よりも理解のスピードを上げることができる。ここで生まれた時間を他の内容の指導や個別指導にあてることができるのが何よりのメリット」と戸来先生は言う。
 また、市川中では普通教室でも積極的にeライブラリアドバンスを利用しており、アニメーション教材・シミュレーション教材や英会話教材といった動きのある教材をプロジェクターで投写している。
 例えば、係数を変えたグラフを比べる時など板書でグラフを書くより効率はぐんと上がるので時間の余裕が生まれるし、英会話教材では、耳からだけでなくアニメや日本語訳などの目からの情報もフル活用して、文型の定着やリスニング・スピーキング練習ができる。
 こうした実践はデジタル教材ならではのメリットを生かしつつ、準備や操作面で先生方にも無理のないものだが、やはり、理解を促し時間を生む効果をもたらしている。

アニメ付きの英会話教材
黒板に投写すると、そのままチョークで
書き込みができて便利
 保護者、先生、生徒のみんなに講習会
 市川中学校では市から配分される教材費等の学校予算は年々縮小傾向にあることもあり、昨年からeライブラリアドバンスの導入費用にPTA予算を割り当てるようにしたという。年度初めのPTA総会では、決算報告と同時にeライブラリアドバンスの説明や家庭学習サービスの案内も行っている。家庭でのパソコン保有率は約65%とのことだが、「基本は宿題。eライブラリの家庭学習サービスは塾と同じようなプラスアルファの選択肢のひとつ。環境があれば家庭学習の習慣づけに役立ててほしい。昼休み・放課後は学校のパソコンも利用できる」というのが市川中のスタンスであり、保護者からの理解も得られている。
 4月のPTA総会に始まり、5月は全校生徒向け学習説明会、7月は教員研修と、市川中では保護者、生徒、教師の全てに対して総括的にeライブラリアドバンスの案内を行うことにより、稼働率を上げより効果的な利用を促すよう努めている。なかでも生徒向け講習は、ゲストティーチャー効果も見込んで外部から講師を招く機会が増えており、eライブラリアドバンスのみならず情報セキュリティや性教育などの講習も開かれ、生徒は熱心に耳を傾けていたということだ。
学習説明会ではeライブラリアドバンスでの
学習のコツも伝授。
生徒会ではeライブラリの有効活用を呼びかける校内放送用動画を作成中とのこと。
 本物の学習、分かる喜びを
昼休みの生徒の学習を見守り、様々な
角度からアドバイスする戸来教頭先生。
 こうした学校をあげての取組みが功を奏し、りれきドリルでの学習は生徒の間に定着しつつある。リトライ回数の少なさを競い合いはじめた生徒たちの姿に「やっと気づいたか・・・」と内心ニンマリしたという戸来先生。「自分のペースで学習でき、自分自身の定着度を測ることができる。意欲が生まれた生徒にはとてもよい学習ツール」とeライブラリアドバンスを評価する。
 
「生徒にはドリルと平行してポイント教材や百科事典で調べることで、本物の学習をしてほしい」と願う一方、「選択式のドリルのみで真の定着度を測るのは難しく、記述式のプリント利用は欠かせない。eライブラリにどこまで求めるのか、教師側でのしっかりした線引きが必要」と課題も明確だ。
 学習の面白さ、理解できた喜びを生徒に伝えるのが教師の役割という市川中学校の先生方。楽しかったという挙手がパソコンを使ったからではなく、「理解できた喜び」と完全にイコールになることを目指し、日々の実践は続く。
(平成20年3月)
−DATA−
青森県 八戸市立市川中学校
[生徒数] 456名/全14学級+特別支援学級
[コンピュータ台数] パソコン室 生徒用20台・先生用1台・サーバ1台
[校内LAN整備状況] 全教室に有線LAN デスクトップPC13台 プロジェクター3台 
  ※お話を伺った戸来忠雄教頭先生は、平成20年4月より八戸市教育委員会に異動になっております。